芝寿しインターン:社外インタビュー「金沢駅で」

  • 2016.09.01
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芝寿しインターン:社外インタビュー「金沢駅で」

しあわせを広げる


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芝寿し様で社長や社員の皆様のお話を聞いていると、

 

「北陸・金沢にとって無くてはならない存在になること」

 

を目指しているとお聞きしました。

 

しかし、北陸生まれ北陸育ちの私にとって、

笹寿しは物心がついた時からすぐそばにある食べ物であり、

「気づけばそこにあった存在」である。

 

金沢で生まれ育つ人はそういった方が多いのではないだろうか。

 

 

懐かしい場所や大切な人、お気に入りのお店。

今までずっとあったものが無くなってしまうことは、本当に悲しいし耐え難い。

 

しかし、今までそこに無かったものが突然現れたとき、

それが「無くてはならない存在」になることはすごく難しいと思う。

 

なぜなら、

突然現れるものは「それまで無くても良かったもの」でもあるからだ。

 

つまり、

 

笹寿しを今、知らない人に知ってもらい、

笹寿しの虜にすることは容易ではないと言いたいのだ。

 

私はこの文章を通して、読者と笹寿しを強く結びつけるものであってほしいと願っている。

 

還暦を迎える芝寿司


笹寿し

 

始めに、笹寿しを販売する「芝寿し」を紹介したい

 

昭和33年、西暦1958年。

フラフープ、即席チキンラーメン、そして東京タワーが竣工したころ。

 

金沢の繁華街、片町には東芝のショールームがあった。

 

当時発売された電気炊飯器に何とか興味を持ってもらおうと、

店主は実演販売を繰り返した。

 

その結果大量の炊いたお米が余ってしまった。

 

「捨ててしまっては、もったいない。」

 

考えた末、それらを家にあった木枠で

金沢の文化として親しまれてきた”押し寿し”にした。

 

それが「芝寿し」のはじまりである。

※芝寿しの歴史はこちらから

 

以来、芝寿司はずっと金沢の伝統食の1つとして

押し寿し文化を受け継いできた

 

今年10月 60周年を迎える。

 

伝統食を守る意味


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北陸、特に金沢は昔から食文化の栄えている街だった。

 

日本列島の真ん中に位置し、

海と山に囲まれた金沢には必然的に美味しいものが集まった。

 

金沢の伝統食といえば

押し寿司、かぶら寿司、治部煮、べろべろ(えびす) などたくさんある。

 

金沢市内の小中学校では1年に何度かこの伝統食を知ってもらおうと、

給食のおかずとして伝統食が出されることがある。

 

なぜだろうか?と私は疑問に思う。

 

おそらく、金沢の伝統食に対する認知度をあげるためではないか。

 

では、

 

なぜ伝統食の認知度が低いとダメなのだろうか?

 

食べることの目的が生きることなら、

食文化の多様性など必要ないように私は思う。

 

 

それなのになぜ、食の多様性や伝統食を守ろうとするのか。

私はまだしっくりくる答えを得られていない。

 

読者の皆様と一緒に

このインターンを通して考えてみたいと思う。

 

街頭インタビュー


 

北陸新幹線開通に伴って、

観光客数がどっと増えて賑わいを見せている金沢駅。

 

私はそこで街頭インタビューを行った。

 

金沢に来た目的と、観光で来ていた方には芝寿しを知っているか。

の2点を聞いてみた。

 

結果は次のグラフのとおりだ。

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地元の人や、北陸からの人は芝寿しを知っている割合が高かった。

 

しかし、それ以外の県外地域からの観光客で

知っていると答えた人は全体の13%の人に留まった。

 

インタビュー中にもう一つ気になったことがある。

 

ある20代の男性が

 

金沢の伝統食は「若者向きじゃない」

 

と答えたのだ。

 

 

「若者向き」ってなんだ?


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先ほどの質問について考えてみたところ、気づいたことがある。

笹寿しは実は、「若者向け」の商材であるのではないか。ということだ。

 

まずは、若者がこぞって食べるものの特徴を考えてみた。

 

美味しいことももちろんなのだが、

 

手軽・安い・腹持ちがいい

 

この3つが重要なポイントになっていると思う。

 

ハンバーガーや牛丼などのファストフードはその例だ。

 

そう考えると笹寿しは、若者にとって「和製ファストフード」になることができるのではないかと考える。

 

バラで買えば1個100円ちょっと。

ハンバーガーの包み紙を開くように笹の葉をめくり、そのままかぶりつく。

 

みんなでハンバーガーを食べるのもいいけれど、

それを笹寿しにしただけで街は粋な若者でいっぱいになるだろう。

 

周りの人に

 

「あれ何?」

 

なんて言わせたらこっちのものだ。

 

 

その人はきっと検索バーに

 

「若者 笹 ごはん」

 

と打ち込んで調べる。

 

ツイッターもフェイスブックもインスタグラムも…。

 

 

笹寿しを食べる若者であふれていたらかなり面白いと思う。

 

 

 

あれば幸せ、あるから幸せ


 

もう1つ。わかったことがある。

 

伝統食があることで生まれる、

美味しいの笑顔がある

 

ということだ。

 

 

美味しいから伝統として、長年伝わってきたのであろう。

 

伝統食を知ってもらうこと、

 

地域の食文化を発信することは、

 

美味しい笑顔を増やすこと

 

なのかもしれない。

 

 

では、今後も発信するにはどうしたらよいか?

 

身振りで伝えられるのは半径10メートルぐらい。

 

声で伝えられるのは半径100メートルぐらい。

 

 

文字で伝えられるのは…世界中どこまでも。

 

インターネットに国境はない。

 

言語に違いはあるけれど、ボタンをクリックすればあっという間に自分の国の言語になっている。

ここを活用しない手はないだろう

 

 

 

手のひらの中から


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このインターネットを、ものの見事に使いこなすのが若者たちだ。

 

友達が食べてる写真やそのコメントを読んで、

とりあえず自分も食べてみる。

 

 

美味しい。

 

 

自分もSNSにアップする。

 

こうして広まった伝統食の話を実家に帰って話のネタにする。

 

その伝統食を知らなかった彼らの親、祖父母世代にも伝わっていく。

 

 

インターネット、特にSNSが普及するまでは、

伝統や文化は、上の年代から下の年代へ

流れて伝わるものだった。

 

 

しかし、今となっては流れる方向など関係ない。

 

世界とつながる端末をもった若者から、

 

美味しい笑顔をまとった食文化が全世界に

 

あふれ出していくのだ。

 

 

 

伝統食を守る意味は正直まだよくわからない。

 

伝統食が無くてはならないと証明することもまだできない。

 

 

しかし、こうした情報発信を得意とする、

「若者」に笹寿しを発信していくこと。

 

それによって美味しい。の笑顔が増えることがわかった

 

そうすることで、

金沢の伝統食は今後も守られるのではないか。と思う。

 

 

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富山大学人文学部1年 松岡瑞季