芝寿しインターン:高野酢造さん「楽しい食事から健康的な生活へ」

芝寿しインターン:高野酢造さん「楽しい食事から健康的な生活へ」

楽しい食事から健康的な生活へ

 

 

こだわりのお寿し作りのために欠かせないのが、”寿司酢”です。

 

芝寿し専用の寿司酢を長年製造してくださり、

共に歩んできてくださった「高野酢造」さんに

 

その酢製造にかける思いをお聞きしました。

 

信頼関係を築く

 

高野酢造さんは大正10年に創業され、代々石川県白山麓でお酢を製造されてきました。

 

お酢という調味料を作る上で、高野酢造さんはとてもお客様のことを大切にされていました。

 

取材中にお酢造のお話をしている時に

 

「お約束したことは必ず守る」

 

と、高野社長は強くおっしゃっておられました。

 

今日では食材の産地を改ざんした事件なども問題となっています。

 

そんな中、高野酢造さんは長くお付き合いされてきたお客様に対して、

 

誠意を持ってお酢造をしていきたい、

 

そしてもっと信頼してもらえるように努力していきたい。とお話されていました。

 

実際に高野酢造さんの商品には、

 

消費者の声からつくられた商品があったり、

地元の名産を使ってより石川県の食を伝えていきたいという

思いがこもった商品があったりと様々な思いが込められた商品があります。

 

ですがどの商品にも、お酢を使ってもらう上で

 

消費者がより良い生活が送れるためにという思いや、

地元のものの良さを知ってもらいたいという思いの強さを感じられました。

 

そのお話を聞いて私は、「食を通して社会貢献を」という経営理念を掲げている高野酢造さんの

大正時代から石川県の県民に愛され続けてきた理由を垣間見た気がしました。

 

 

こだわりのお酢

高野酢造さんでは米酢の製造の工程ひとつひとつに手間と時間をかけており、

それらに昔ながらの知恵や技が活かされていました。

 

原材料には、菊酒を醸す白山水系の水を使用しており、はじめに手間暇をかけて寒冷仕込みの日本酒を醸造します。

 

その後、伝統の静置発酵と連続式表面自然発酵法により、たっぷり時間をかけてまろやかで自然な酸味と香りを醸し出すお酢にかわります。

 

静置発酵というのは、容器の中にお酢を入れてしばらくそのまま置くこと発酵方で、これは時間がとてもかかるのです。

 

しかし時間をかけた分、お酢が熟成し、お酢内にあるアルコ−ル分が減り、仕上がりはよりまろやかな味わいになるそうです。

 

また連続式表面自然発酵というのは発酵させるための容器を何個も繋げ、少しずつ下の容器に流れるようにする発酵法をいいます。

 

この方法だと、多くの容器を使用するためお酢が空気に触れる表面積が増え、より早く発酵が進むのです。

 

この他にも短い期間で製造できるようないろんな発酵法があるそうですが、高野酢造さんでは主にこの二つのこだわりの発酵法でお酢造をされていました。

 

お酢造に関して社長は「お酢造には、とにかく温度管理がとても大事になってくるんです」

 

とお話されており、1日に1度は必ず、ご自身で工場に酢の様子を見に行くそうです。

 

「酢酸菌は生きているので、毎日具合を見てあげて手入れをしてあげないといけない。

 

そうおっしゃる社長からは、お酢にかける想いの丈を感じることができました。

 

実は、私は取材をさせていただく前に、お酢の製造を行う場所はお酢のツンとした匂いがするのだろうと思い込んでいましたが、

 

実際に伺ってみるとそんな匂いは全くせず、なんだかほっと落ち着くようなお酢のいい香りが漂っていました。

 

これも手間暇かけたこだわりのお酢造で、まろやかで自然な味わいなお酢を製造されている高野酢造さんだからこそのものかもしれません。

 

健康的な食事を提供

 

お酢を製造を通して、高野酢造さんはお酢を使ってもらう方々に楽しい食事から生まれる健康的な生活を提供したいとお話されていました。

 

そのためには、消費者に安心安全なものを届けないといけない。

だからこそ、手間暇をかけて代々受け継がれてきたこだわりのお酢造を続けられているそうです。

 

あまり知られていませんが、お酢にはとても健康面ですごい効用があるんです。

 

実はカルシウムを体に取り込むときに、お酢も一緒に食べることでカルシウムの吸収率も高めることができるのです。

 

近年、骨粗しょう症などで人体の骨に問題を抱える人たちが増えてきている中で、このように食に関する知識はあまり知られていないので、これも広く伝えていきたい。

 

そして、

 

「お酢はベ−スとなるものなので、好きなように使ってもらえればいい。それによって健康な食生活が送ってもらえ何か社会に貢献できれば、私たちはそれだけでいい。」と熱くお話されていました。

 

現在はあまりお酢をメインとしたレシピというのは少ないですが、高野酢蔵さんではよりお酢を身近に感じてもらうためにも、これからはお酢の使い方の提案をしたり、レシピを提案したりということもしていきたいとおっしゃいっておられました。

 

 

最後に、社長さんは

 

「うちのお酢でなくても、健康的な生活を送っていただければそれでいい」

 

とおっしゃられていました。

 

私はその言葉から、本当に消費者のことを考えてお酢造をされており、食を通して人々の生活を支えてこられたのだと感じました。

 

代々受け継いでこられたのものは、製造方法や原材料などのこだわりだけなく、この『食にかける想い』も高野酢造さんでは、伝統なのかもしれません。

 

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富山高等専門学校 射水キャンパス 高専4年 伊藤 大樹