芝寿しインターン:店舗の売り方について取材

  • 2016.09.25
  • 未分類
芝寿しインターン:店舗の売り方について取材

芝寿しの魅力を現場の視点から探っていく


芝寿し新工場-H1写真

 

株式会社芝寿し

 

石川県民をはじめとし、北陸においてその名が知れ渡っている「芝寿し」。

 

そのお弁当のおいしさを知っている人は多いだろうが、

 

果たして、

 

そのおいしさだけでここまでの知名度を誇っているのか。

 

地元を大切にする。その経営理念にこそ芝寿しの魅力があるのではないか。

 

見出すべきではないか。と考え、

 

今回は芝寿しイオン松任店、芝寿し金沢駅百番街店の二店舗を取材した。

 

 

店舗ごとに変わる品ぞろえ


 

今回、二店舗を訪ね感じたこと

 

どちらの店舗もそれぞれ目に見えて品ぞろえが異なった。

 

この違いは何か?

 

その答えはそれぞれの店舗の客層立地条件の違いである。

 

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イオン松任店は立地的にイオン内かつ、

どちらかというと都心から離れた場所にある。

 

その立地条件的に、客層も自然と絞られてくる。

 

来店されるお客様の多くは地元の年配の方が多い。

 

そのため、松任店は基本的に同じ商品や昔からある商品を買うユーザーが多い。

 

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そこで、お客様に合わせて同じ商品を多めに置く。

 

新商品が出たときも、店頭には並べるものの

そこまで数多くは仕入れないという。

 

 

それに対して百番街店の方は、ユーザー層が20代から80代と非常に広く、

主な利用者は観光客や帰省者といった石川県外の人が多い。

 

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そこで、ユーザーが観光客や帰省客に合わせ、

店頭に並んでいる商品はやや高額な商品を並べる。

 

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観光客向けのお土産としてやや高い商品でも購入してくれるという理由があるからだ。

 

 

どちらの店舗にも共通して言えることは、この商品のチョイスや仕入れの数は

発注担当の店長が考えて数や商品を決めているということだ。

 

その店舗特有のユーザーや条件に合わせた品ぞろえを提供している。

 

そのユーザーに合わせた品ぞろえを提供しているからこそ、

現在のような石川県では知らない人がいないほどにまで広まっているのではないだろうか。

 

 

売る際の対応


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 いくらいい商品を並べても、それを購入してくれるユーザーがいないと利益にならない。

 

購入を迷っているお客様にいかにして買ってもらうか、ここにも工夫があるようだ。

 

店頭で購入を迷っているお客様にはまずは話を聞くという。

 

お客様のご要望はなにか。どのようなお弁当が必要なのか。

 

うまく引き出しながら聞いていく。

 

会話の中から相手がどういった状況(人数、おなかの減り具合など)かをつかむ。

 

そこからそのニーズにあった弁当を選んでいくという。

 

 

また、常連のお客様には新商品や季節ものの商品が出た際は勧めていくという。

 

常連のお客様の場合、同じ商品を購入することが多く内容が偏りがちになる。

 

そこに対する配慮として新たな味を提供するという意味で新商品を勧めるという。

 

そんな常連のお客様と会話をするなかでも、信頼関係が築かれていっているのではないかと考える。

 

また、お客様によっては、そこまでおなかが空いていない。という方もいるという。

 

そんなお客様にも合わせて、芝寿しの中でも有名な商品、

「笹寿し」をバラ売り可能という旨を伝えて売り込むという。

 

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ユーザーのニーズに合わせて柔軟な対応をしていくことで

そこからもまた信頼関係が築かれているのではないだろうか。

 

 

少し意地悪だが、

 

仮に同じお弁当屋が隣に並んでいる場合はどうするか?

 

という質問を投げかけた。

 

答えは、

 

決して、強くは売りこまない。

声を大きくあげてお客様に積極的に勧めてはいかない。

 

という。

 

目が合ったお客様に「どうですか?」と聞く程度だとか。

 

その理由を尋ねると、

 

「石川内では芝寿しは有名だから、積極的に声をかけてもあまり効果がないように感じる。

粗い押し売りはせずに、お客様に興味を持ってもらうような、

丁寧かつ上品な売り方を心がけている。」

 

とのことだ。

 

これはユーザーを獲得しているからこそできる売り方ではないだろうか。

 

しかし、新規のユーザーを取り込むことに関しては難しさを感じるところでもある。

 

 

お客様第一の考え


 

単純にお客様にお声をかけ、

その会話の中からお弁当を選び出し、販売しているだけではない。

 

 

お客様がどういった人か。

 

どんな時間帯か。

 

お客様のことを第一に考えるようにしている。

 

肉を多く入れた商品は男性からの人気がある。

 

一方で野菜の多い、彩りの良い商品は女性からの人気がある。

 

それぞれのお弁当の特徴を良く見て、

今までの販売経験からも品ぞろえを考え、商品を選び、売り出している。

 

例えば、イオン松任店では、

 

年配の方が多いため、薄味で量は少なめ。

 

といったことを意識し、商品を選び陳列している。

 

さらには、時期や時間帯によって来るお客の数や層が異なることも見越して、

季節商品、イベント商品、オードブルや笹寿しの量を増やしているという。

 

 

こういった、ユーザーから聞いた情報だけでなく、

季節、時期、時間帯、今までの経験など様々な要素から考えて商品を並べている。

 

毎日の小さな工夫と、様々な変化に対応しつつもお客との信頼関係を築き上げていったことが、

結果的に石川県での知名度をここまで引き上げたのではないかと思う。

 

 

今後の課題は、石川県内にとどまるのでなく、

これから石川県外、全国で知名度を上げることであるだろう。

 

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久留米大学 文学部情報社会学科

二回生 福中明成